うつ病で障害年金を受給するためのポイント

症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものとされるため、症状の経過及び日常生活活動を考慮されます

うつ病で障害年金を受給するためのポイント

うつ病の等級(障害認定基準)

1うつ病の障害認定基準

うつ病の障害認定基準は、次のように等級が例示されています。

障害の程度 障害の状態
1級 高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
2級 気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級 気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

状態として、1級は居室内での活動に限られている状態、2級は活動の範囲が家屋内に限られるような状態、3級は、働くことに制限があり、就労が困難な状態です。
等級に応じて、支給額が決まります。→障害年金の受給金額

うつ病の障害認定基準は、次のように考慮される事項が定められています。

うつ病は、本来、症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものである。したがって、現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する。
また、うつ病等とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。

2障害年金の審査に提出する書類

障害認定基準によると、等級の度合い・認定にあたっては「具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに、その原因及び経過を考慮する」とポイントが書かれています。障害の原因やその経過日常生活活動がいかに困難かということについて重視されます。

診断書病歴・就労状況等申立書に病歴・症状、就労の状況、日常生活の困難について適切に反映することが大事です。

障害年金で審査される内容について

1診断書の表面-障害の原因やその経過の記載欄

診断書表面に、障害の原因やその経過を書く欄があります。

診断書(精神の障害用)(PDF 315KB)
診断書(精神の障害用)(PDF 315KB)

うつ病の場合は、診断書の表面⑩「ア」障害の状態「Ⅰ抑うつ状態」等に、主治医が該当する病状に〇をし、具体的な症状は、表面⑩「イ」の欄に記載されることになります。
障害の原因になるような事項ついては、診断書表面⑨「ア 発育・養育歴」「イ教育歴」「ウ職歴」が記載されます。発病から今までの病歴や治療歴について、⑦や⑨「エ 治療歴」に経過が記載されることになります。

2診断書の裏面-日常生活能力の記載欄

次に、精神の障害用の診断書の裏面を見ます。

診断書(精神の障害用)(PDF 315KB)
診断書(精神の障害用)(PDF 315KB)

3診断書の項目・内容についての解説(裏面-日常生活能力の程度について)

日常生活活動がいかに困難か、日常生活能力の度合いについて、裏面の「2 日常生活能力の判定」「3 日常生活能力の程度」で判定されます。
まず、裏面左側に「2 日常生活能力の判定」の項目は、(1)適切な食事、(2)身辺の清潔保持、(3)金銭管理と買い物、(4)通院と服薬、(5)他人との意思伝達及び対人関係、(6)身辺の安全保持及び危機対応、(7)社会性の7つの生活面で判断されます。
精神疾患は等級判定ガイドラインに、日常生活能力の度合いに応じて、おおよその目安について書かれています。

こちらの判定は、単身で生活するとしたら可能かどうかを前提に、「できる(1点)」、「おおむね出来るが時には助言や指導を必要とする(2点)」、「助言や指導があればできる(3点)」、「助言や指導をしてもできない若しくは行わない(4点)」の4段階で、自己評価してみてください。

(1)適切な食事

嗜癖的な食行動(たとえば拒食症や過食症)をもって「食べられない」とはしない。

1点 できる 栄養のバランスを考え適当量の食事を適時にとることができる。(外食、自炊、家族・施設からの提供を問わない)
2点 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする 自発的な指導を必要とするにできるが時には助言だいたいは自主的に適当量の食事を栄養のバランスを考え適時にとることができるが、時に食事内容が貧しかったり不規則になったりするため、家族や施設からの提供、助言や指導を必要とする場合がある。
3点 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる 1人では、いつも同じものばかりを食べたり、食事内容が極端に貧しかったり、いつも過食になったり、不規則になったりするため、経常的な助言や指導を必要とする。
4点 助言や指導をしてもできない若しくは行わない 常に食事へ目を配っておかないと不食、偏食、過食などにより健康を害するほどに適切でない食行動になるため、常時の援助が必要である。

(2)身辺の清潔保持

1点 できる 洗面、整髪、ひげ剃り、入浴、着替え等の身体の清潔を保つことが自主的に問題なく行える。必要に応じて(週に1回くらいは)、自主的に掃除や片付けができる。また、TPO(時間、場所、状況)に合った服装ができる。
2点 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする 身体の清潔を保つことが、ある程度自主的に行える。回数は少ないが、だいたいは自室の清掃や片付けが自主的に行える。身体の清潔を保つためには、週1回程度の助言や指導を必要とする。
3点 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる 身体の清潔を保つためには、経常的な助言や指導を必要とする。自室の清掃や片付けを自主的にはせず、いつも部屋が乱雑になるため、経常的な助言や指導を必要とする。
4点 助言や指導をしてもできない若しくは行わない 常時支援をしても身体の清潔を保つことができなかったり、自室の清掃や片付けをしないか、できない。

(3)金銭管理と買い物

行為嗜癖に属する浪費や脅迫的消費行動については、評価しない。

1点 できる 金銭を独力で適切に管理し、1カ月程度のやりくりが自分でできる。また、1人で自主的に計画的な買い物ができる。
2点 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする 1週間程度のやりくりはだいたい自分でできるが、時に収入を超える出費をしてしまうため、時として助言や指導を必要とする。
3点 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる 1人では金銭の管理が難しいため、3~5日に一度手渡して買い物に付き合うなど、経常的な援助を必要とする。
4点 助言や指導をしてもできない若しくは行わない 持っているお金をすぐに使ってしまうなど、金銭の管理が自分ではできない、あるいは行おうとしない。

(4)通院と服薬

1点 できる 通院や服薬の必要性を理解し、自発的かつ規則的に通院・服薬ができる。また、病状や副作用について、主治医に伝えることができる。
2点 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする 自発的な通院・服薬はできるものの、時に病院に行かなかったり、薬の飲み忘れがある(週に2回以上)ので、助言や指導を必要とする。
3点 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる 飲み方の間違い、拒薬、大量服薬をすることがしばしばあるため、経常的な援助を必要とする。
4点 助言や指導をしてもできない若しくは行わない 常時の援助をしても通院・服薬をしないか、できない。

(5)他人との意思伝達及び対人関係

1対1や集団の場面で、他人の話を聞いたり、自分の意思を相手に伝えたりするコミュニケーション能力や他人と適切につきあう能力に着目する。

1点 できる 近所、仕事等で、挨拶など最低限の人づきあいが自主的に問題なくできる。必要に応じて、誰に対しても自分から話せる。友人を自分からつくり、継続して付き合うことができる。
2点 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする 最低限の人づきあいはできるものの、コミュニケーションが挨拶や事務的なことにとどまりがちで、友人を自分からつくり、継続して付き合うには、時として助言や指導を必要とする。あるいは、他者の行動に合わせられず、助言がなければ、周囲に配慮を欠いた行動をとることがある。
3点 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる 他者とのコミュニケーションがほとんどできず、近所や集団から孤立しがちである。友人を自分からつくり、継続して付き合うことができず、あるいは周囲への配慮を欠いた行動がたびたびあるため、助言や指導を必要とする。
4点 助言や指導をしてもできない若しくは行わない 助言や指導をしても他者とコミュニケーションができないか、あるいはしようとしない。また、隣近所・集団との付き合い・他者との協調性がみられず、友人等とのつきあいがほとんどなく、孤立している。

(6)身辺の安全保持及び危機対応

1点 できる 道具や乗り物などの危険性を理解・認識しており、事故等がないよう適切な使い方・利用ができる(例えば、刃物を自分や他人に危険がないように使用する、走っている車の前に飛び出さない、など)。また、通常と異なる事態となった時(例えば火事や地震など)に他人に援助を求めたり指導に従って行動するなど、適正に対応することができる。
2点 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする 道具や乗り物などの危険性を理解・認識しているが、時々適切な使い方・利用ができないことがある(例えば、ガスコンロの火を消し忘れる、使用した刃物を片付けるなどの配慮や行動を忘れる)。また、通常と異なる事態となった時に、他人に援助を求めたり指示に従って行動できない時がある。
3点 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる 道具や乗り物などの危険性を十分に理解・認識できておらず、それらの使用・利用において、危険に注意を払うことができなかったり、頻回に忘れてしまう。また、通常と異なる事態となった時に、パニックになり、他人に援助を求めたり、指示に従って行動するなど、適正に対応することができないことが多い。
4点 助言や指導をしてもできない若しくは行わない 道具や乗り物などの危険性を理解・認識しておらず、周囲の助言や指導があっても、適切な使い方・利用ができない、あるいはしようとしない。また、通常と異なる事態となった時に、他人に援助を求めたり、指示に従って行動するなど、適正に対応することができない。

(7)社会性

1点 できる 社会生活に必要な手続き(例えば行政機関の各種届出や銀行での金銭の出し入れ等)や公共施設・交通機関の利用にあたって、基本的なルール(常識化された約束事や手順)を理解し、周囲の状況に合わせて適切に行動できる。
2点 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする 社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用について、習慣化されたものであれば、各々の目的や基本的なルール、周囲の状況に合わせた行動がおおむねできる。だが、急にルールが変わったりすると、適正に対応することができないことがある。
3点 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる 社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用にあたって、各々の目的や基本的なルールの理解が不十分であり、経常的な助言や指導がなければ、ルールを守り、周囲の状況に合わせた行動ができない。
4点 助言や指導をしてもできない若しくは行わない 社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用にあたって、その目的や基本的なルールを理解できない、あるいはしようとしない。そのため、助言・指導などの支援をしても、適切な行動ができない、あるいはしようとしない。

7つの生活面に対して、自分の症状・状態をメモ等で、普段から主治医に伝えておく必要があります。

4診断書の項目・内容についての解説(裏面-日常生活能力の程度)

さらに、診断書裏面の右側に、「3 日常生活能力の程度」についての記載が続きます。「2 日常生活能力の判定」の7つの場面も含めた総括的な度合いを医師が評価するものです。

日常生活能力の程度

(1) 精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。
(2) 精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。(たとえば、日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難を生じることがある。社会行動や自発的な行動が適切に出来ないこともある。金銭管理はおおむねできる場合など。)
(3) 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。(たとえば、習慣化した外出はできるが、家事をこなすために助言や指導を必要とする。社会的な対人交流は乏しく、自発的な行動に困難がある。金銭管理が困難な場合など。)
(4) 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。(たとえば、著しく適性を欠く行動が見受けられる。自発的な発言が少ない、あっても発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする。金銭管理ができない場合など。)
(5) 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。(たとえば、家庭内生活においても、食事や身のまわりのことを自発的にすることができない。また、在宅の場合に通院等の外出には、付き添いが必要な場合など。)
上記出た結果を、「2 日常生活能力の判定」で出た平均値を縦軸に、「3 日常生活能力の程度」を横軸にマトリックス状に当てはめます。おおよその等級の目安が出てきます。あくまでも参考です、断定されるものではありません。
(5) (4) (3) (2) (1)
3.5以上 1級 1級または2級
3.0以上3.5未満 1級または2級 2級 2級
2.5以上3.0未満 2級 2級または3級
2.0以上2.5未満 2級 2級または3級 3級または非該当
1.5以上2.0未満 3級 3級または非該当
1.5未満 3級非該当 3級非該当

ガイドラインの中では、総合評価では、目安とされた等級の妥当性を確認しながらも、目安だけでなく、診断書に書かれた以下の【考慮すべき要素】についても診査したうえで、最終的な等級判定を行うこととするとされています。

就労が等級判定にあたり考慮される事項

障害認定基準に、就労の場面で「仕事の内容、援助の内容、意思疎通の状況」について、等級判定にあたり考慮される事項の記載があります。

日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

働いていることをもって直ちに生活能力が上がったと判断せず、就労先より、なるべく人と接する仕事はしないように制限されている、体調が悪くなったときに休憩を取れるように対処してもらっている、または、遅刻や欠勤について特別な配慮を会社から受けて就労ができている等、仕事内容に様々な援助を受けて就労が継続できているのであれば、判定にあたって考慮されます。年金請求時には、就労先の配慮や援助について補足資料を添えることが重要です。

一人暮らしが等級判定にあたり考慮される事項

精神の障害に係る等級判定ガイドラインに、独居であたり考慮される事項の記載があります。

  • 独居であっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合(現に家族等の援助や福祉サービスを受けていなくても、その必要がある状態の場合も含む)は、それらの支援の状況(または必要性)を踏まえて、2級の可能性を検討する。
  • 独居の場合、その理由や独居になった時期を考慮する。

生活環境が、一人暮らしの場合、誰からの助けも得なくても生活能力があると判断をされてしまう可能性があります。
しかし、上記のように、独居の住宅に家族や親しい友人による常時支援があることや、家事を支援してくれる福祉サービスを利用している場合、等級の判定にあたって考慮されます。仮に、経済的な理由で福祉サービスが利用できない等があれば、それも重要です。
また、一人暮らしをせざるを得ない経緯について、例えば、病気を重くする原因が家族の不仲で、やむを得ず独居している場合も、考慮される要素になりうるので、こういった状況について、主治医に伝えておき、診断書や病歴・就労状況等申立書に記載し説明を添えることが重要です。

知的障害や発達障害と他の精神疾患が併存している場合の取扱いについて

精神疾患を併発しているケースについて、同一傷病とされる場合は、前発傷病の初診日を確定させて請求します。通常、診断名の変更と判断される場合が多いと考えられますが、判断に迷った場合は、障害年金の社会保険労務士にご相談ください。

(1)うつ病又は統合失調症と診断されていた者に後から発達障害が判明するケースについては、そのほとんどが診断名の変更であり、あらたな疾病が発症したものではないことから別疾病とせず「同一疾病」として扱う。
(2)発達障害と診断された者に後からうつ病や神経症で精神病様態を併発した場合は、うつ病や精神病様態は、発達障害が起因して発症したものとの考えが一般的であることから「同一疾病」として扱う。
(3)知的障害と発達障害は、いずれも20歳前に発症するものとされているので、知的障害と判断されたが障害年金の受給に至らない程度の者に後から発達障害が診断され障害等級に該当する場合は、原則「同一疾病」として扱う。
例えば、知的障害は3級程度であった者が社会生活に適応できず、発達障害の症状が顕著になった場合などは「同一疾病」とし、事後重症扱いとする。
なお、知的障害を伴わない者や3級不該当程度の知的障害がある者については、発達障害の症状により、はじめて診療を受けた日を初診とし、「別疾病」として扱う。
(4)知的障害と診断された者に後からうつ病が発症した場合は、知的障害が起因して発症したという考え方が一般的であることから「同一疾病」とする。
(5)知的障害と診断された者に後から神経症で精神病様態を併発した場合は「別疾病」とする。
ただし、「統合失調症(F2)」の病態を示している場合は、統合失調症が併発した場合として取り扱い、「そううつ病(気分(感情)障害)(F3)」の病態を示している場合は、うつ病が併発した場合として取り扱う。)
(6)発達障害や知的障害である者に後から統合失調症が発症することは、極めて少ないとされていることから原則「別疾病」とする。
ただし、「同一疾病」と考えられるケースとしては、発達障害や知的障害の症状の中には、稀に統合失調症の様態を呈すものもあり、このような症状があると作成医が統合失調症の診断名を発達障害や知的障害の
傷病名に付してくることがある。したがって、このような場合は、「同一疾病」とする。
(参考)発達障害は、ICD-10では、F80からF89、F90からF98にあたる

疑義照会への厚労省の回答(給付企No.2011-1)より

障害年金の対象とはならない疾患について

  • 【人格障害(パーソナリティ障害)】は、大多数の人とは違う反応や行動をすることで本人が苦しんだり、周囲が困ったりする場合に診断されます。認知(ものの捉え方や考え方)、感情のコントロール、対人関係といった種々の精神機能の偏りから生じるものです。人格障害は、原則として認定の対象となりません。
  • 【神経症】にあっては、不安神経症、解離性障害、強迫神経症など、さまざまな種類があります。その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象となりません。
    神経症はその原因が、心理的な原因(心因)から起こるとされています。心の不安やストレスを取り除いてあげれば治る可能性があるけれども、精神病は「脳の病気」と考えられているためです。
    ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、認定される可能性は残されており、実際に、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱われ、認定されているもあります。神経症でも症状が重い等ありましたら、障害年金の社会保険労務士にご相談ください。

病歴・就労状況等申立書の作成のポイント

うつ病などは、長い期間持続したり、繰り返したりする病気です。不調が現れ始めたころから、現在までの病歴・通院歴・日常生活の様子を記す必要があります。認定要領には、症状の経過およびそれによる日常生活活動等の状態を考慮するとされておりますので、発病してから現在までの3つのポイントを必ず、書くようにしてください。

  • 具体的な症状・治療歴(病院を転院したらその理由なども)
  • 日常生活の状況
  • 就労の状況(職場から受けている支援や配慮、有給や休職取得について)

原則として、5年おきに区切って記載しますが、その間に転院があれば、5年ごとに限らず、通院していた病院ごとに記載する必要があります。

病歴・就労状況等申立書(PDF 1,377KB)
病歴・就労状況等申立書(PDF 1,377KB)

また、「病歴・就労状況等申立書」は、診断書と整合性を求められます。つまり、「病歴・就労状況等申立書」は、診断書の記載が、病歴・就労状況等申立書と異ならないようにすることが必要です。主治医に詳しく症状などを伝えて、記載してもらうように、必要であればメモ等を渡すことをおすすめします。

障害年金受給のための3要件と受給金額

1障害年金受給のための3要件

最初に、「初診日がいつか」ということを確定します
初診日は、【保険料納付要件】【年金加入要件】を確認するための基準になるので、初診日の証明をすることは必須になります。
初診日について例えば、心身に不調があり、一番最初に行ったクリニックが、精神科でなく内科等であっても、その日が初診日になることもあります。
【保険料納付要件】とは、①か②のどちらかの要件を満たす必要があることを言います。

①初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料の未納がないこと。※ただし、初診日が令和8年4月1日前で、65歳未満であること(特例)。

②初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち 3分の2以上の期間を「納付済」か「免除」されていること。

【年金加入要件】とは、原則として、加入している年金の被保険者期間中に初診日のある傷病であることが必要です。「初診日」とは、障害の原因となった傷病について、「初めて医師等の診療を受けた日」をいいます。
国民年金の被保険者とは、20歳以上の無職、学生や自営業(第1号被保険者)・扶養されている配偶者(第3号被保険者)で、厚生年金の被保険者とは、会社員や公務員等(第2号被保険者)です。
初診日に厚生年金の被保険者であれば、障害厚生年金もあわせて受け取ることができます。
なお、「20歳到達日前(厚生年金被保険者を除く)」、または「被保険者であった者で、国内在住の60歳以上65歳未満」に初診日がある場合、年金加入要件は問われません。
「初診日」において、どの年金制度に加入しているかにより、年金額が変わるので、その初診日を証明することが非常に重要になります。
【障害程度要件】とは、障害認定日において、一定の程度の【障害の状態】にあることです。
「障害認定日」とは、この日までに重い障害が継続し、障害の程度の認定を行うべき日をいい、その障害の原因となった傷病の初診日から起算して1年6カ月を経過した日、または、1年6カ月以内にその傷病が治った場合においては、その傷病が治った日(症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)をいいます。

受給のための3要件についてよく知る Click

2障害年金の受給金額について

障害の程度 初診日に加入していた年金制度
厚生年金・共済年金(同時に国民年金にも加入しています)
2階部分 国民年金1階部分
1級
他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態。活動の範囲がベッドの周辺に限られる
1級障害厚生年金
(2級障害厚生年金の1.25倍)
1級障害基礎年金
(2級障害基礎年金の1.25倍)
R5年度で993,750
2級
必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害の状態。活動の範囲が家屋内に限られる
2級障害厚生年金
(報酬比例の年金と同額)
2級障害基礎年金
R5年度で795,000
3級
労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態。日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある
3級障害厚生年金
(2級障害厚生年金と同額)
最低保障額あり
R5年度596,300
なし

初診日において厚生年金保険に加入していれば、1級から3級までの年金があり、1級、2級の場合、障害基礎年金(1級993,750円、2級795,000円)に障害厚生年金が上乗せされます。3級の場合には最低保障額596,300円(令和5年度)があります。
精神疾患は症状に変動があるため、症状固定を要件とする障害手当金についておおよそ対象外となります。

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初診日主義について

障害年金の受給要件は、"初診日主義"と言われ、初診日を証明するエビデンスがなければ、年金受給への途が途絶えてしまうこともしばしばあります。そういうことにならないためにも、レセプト、診察券、任意保険の請求書、傷病手当金の請求書など、診察を受けた証明になるものは普段から保管を心がけて頂けるようお願いします。

障害年金の社会保険労務士にご相談・ご予約ならひろコンサルティングオフィス。LINE・ご相談フォームは年中無休・24時間対応です。
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